取材レポート-記事

2023.02.28

多奈川ビオトープと野鳥観察会

 今回、大阪府岬町にあるビオトープの紹介と先日参加した「野鳥観察会」について取り上げます。
ビオトープは、「bio(ビオ)=生きもの」と「topos(トープ)=場所」という言葉を合体させたもので、「地域の野生の生きものが暮らす場所」を意味します。
(出典)https://www.biotope-kinki-shared.com/ビオトープについて/

 大阪府では、岬町の多奈川地区多目的公園の中に、多奈川ビオトープがありますが、ご存じでしょうか?

多奈川地区多目的公園上空写真

多奈川地区多目的公園

ビオトープ上空写真②

多奈川ビオトープ

 大阪といえば大都市をイメージするので、多奈川ビオトープの存在を知ったときは、大阪にも公園がいくつかあるものの、動植物の生息環境を再現した場所があったのかと、驚いたものです。
多奈川地区多目的公園はかつて、野山が広がっていましたが、関西国際空港の2期島(※)を造る際、埋立地の土砂採取場所として切り開かれました。その後、土砂採取後の跡地を有効活用しようよと整備されたのが、この公園です。ちなみに、2期島は、LCCの発着がある第2ターミナルビルのある島です。

(※)参考:関西国際空港1期事業・2期事業について
https://www.fly-kix.jp/about/1kizigyo2kizigyo/

 多奈川ビオトープは、この土砂採取前に現存した、貴重な動植物の生育環境を復元するために、平成19年5月につくられました。現在月1回程度、自然観察会や保全活動が実施されています。

自然観察会①

自然観察会の様子

ビオトープ活動

保全活動の様子

 一般開放日となる自然観察会も年に数回あり、なんと参加費無料!事前申込み不要!で皆さんも気軽に自然体験ができるんです。ぜひ、下記ホームページでチェック、参加してくださいね!

【日本ビオトープ管理士会近畿支部】
https://www.biotope-kinki-shared.com/活動予定-イベント等/

 それでは先日、筆者が参加した「野鳥観察会(日本ビオトープ管理士会近畿支部主催)」の出来事を少しお話したいと思います。
この観察会は、(公財)日本野鳥の会の方、鳥類標識調査ライセンス(バンダー)をお持ちの方に、野鳥を見つけては解説をいただきながら、ビオトープを周遊するという貴重な体験でした。
「鳥類標識調査って何?」と思いますよね。筆者も野鳥観察会に参加するまで知らなかったのですが、1羽ごとに区別するために、記号や番号が書かれた標識を足に付けて、鳥の移動や寿命を知る調査なんです。調査前には、その鳥の種類、体重、雄雌の区別などを記録するので、より正確な情報収集ができるようですよ。
「野生の鳥の足にそんなもの付けていいの?」と思われるかもしれませんが、大丈夫です。調査が終わったら回収されます。

【鳥類標識調査(環境省 山階鳥類研究所)】
https://www.biodic.go.jp/banding/

 観察中によく飛び回っていたのが、「ノスリ」と「ハイタカ」という2種類の鳥。
地上でみる私たちはどうやって区別するのかというと、しっぽに違いがあります。

ノスリ

ノスリ

ハイタカ

ハイタカ

 しっぽが丸く扇型なのが「ノスリ」、縦長スマートな形をしたのが「ハイタカ」です。
写真だと違う鳥だと分かるのですが、上空高く飛んでいるため、鳥の形をした黒い影が飛んでいるようにしか見えず、よく目を凝らさなければなりません・・・(笑)
というより、遠くの動植物を観察する際は、双眼鏡を持参するのがおすすめです。

 観察会当日は風がとても強く、私たち人間には、寒く辛いだけにしか感じませんが、鳥たちは、こんな風こそ、空高く飛ぶ絶好の条件だろうなぁなんて思いながら観察を続けていました。が、よく見ると、ノスリは、自ら飛んでいるはずなのに、ひらひらと風に飛ばされ山に消えていっているではありませんか。鳥なのに全然飛ぼうという意思が感じられない・・・
一方で、ハイタカは力強く飛んでいて、まさにしっぽの形のとおり、シュッと自ら思う方向に飛んでいました。

ノスリとハイタカについて調べてみると、同じ「タカ科」で食性は「動物食」と肉食系。それでも、飛び方ひとつにも、性格の違いが感じられました。
人間でいうと、ノスリが「ロールキャベツ系」、ハイタカが「The肉食系」なのか?なんて想像してみたり・・・同じ鳥に見えてもこんな違いを発見するだけで楽しめるものなんですね!

 また、観察中に時々お見かけした鳥がこちら。「ジョウビタキ」という名の鳥です。

ジョウビダキ

ジョウビダキ

 名前の由来を教えていただくと、「ジョウ」は「頭部の灰色、白色をおじいさんの白髪になぞらえた」を、「ビタキ」は「ヒタキ=火焚き」で、鳴き声が火打石をたたく音に似ていることからがこれらの言葉が合わさり名付けられたようです。
オレンジで丸いお腹のかわいらしい見た目なのに、名前の由来に「おじいさんの白髪」が入っているのが何ともギャップを感じます・・・。
いやしかし、頭だけをまじまじ見ていると、おじいさんにも見えてきますね。

 多奈川ビオトープでは野鳥をはじめ、季節ごとに見られる動植物が異なり、いろんな顔を見せてくれるところが楽しいところです。また、自然観察会では、日本ビオトープ管理士会近畿支部のスタッフが、見つけた動植物の豆知識を教えてくれたりしますよ。
ぜひ、多奈川ビオトープを訪れ、リフレッシュしてくださいね!

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